日本版FTEM

Eの段階(エリート)

ファウンデーション 土台となる遊び・動作・スポーツ
タレント スポーツタレントの顕在化と育成及び実績
エリート シニア代表への選出と成功
マスタリー シニア代表での継続的な成功
Elite:シニア代表への選出と成功

「E」の段階は、シニア日本代表から、国際競技大会でメダルを獲得する段階までの、3つの段階(E1~E3)に分かれています。

この段階では、国際舞台で活躍するための支援(スポーツ医科学支援や助成金等)が増大します。また、アスリートが競技面以外の要因(就職等)により離脱することを防ぐためにデュアルキャリアに関する支援も必要とされています。

Eの段階の育成は、コーチ、中央競技団体、スポーツ統括団体等が重要な役割を担っています。

下のベストプラクティス(最良の方策)を意識して、アスリート育成パスウェイについて考えてみましょう。


E1シニア代表

「E1」は、シニアの国際競技大会またはプロフェッショナルスポーツで、代表選考を通してシニア代表に選出される段階です。

E2実績

「E2」は、直近の世界選手権大会等で8位入賞の実績を有するアスリートである「メダルポテンシャルアスリート」の段階です。

E3成功

「E3」は、世界選手権、オリンピック、パラリンピック競技大会等でメダルを獲得したり、プロリーグで名誉を得た実績を有する段階です(メダリスト)。

Eの段階におけるベストプラクティス

育成パスウェイの軌跡 数少ない機会の中で、ユース年代のアスリートは自分自身の成長過程に責任を持ち、量よりも質の高いトレーニングに注力する必要がある。 Elferink-Gemserら, 2011外部サイトへ移動します
オーストラリアのトップアスリートの競技開始年齢は10.2±3.2歳で、年代別代表選出年齢は16.2±1.7歳であった。その後、シニア代表選出年齢は19.6±3.1歳、オリンピック出場年齢は23.7±4.1歳であった。

平均すると、最初にシニアレベルの競技大会に参加してからオリンピック出場レベルに到達するまで合計8.2年を要する。
Gulbinら, 2010外部サイトへ移動します
ドイツのメダリストは、非メダリストと比較して有意に高い年齢(11.8±4.5歳)で専門競技の練習やトレーニングを始め、それ以前の専門外競技での練習やトレーニングの年数(6.9±1.7年)が多かった。 Güllich, 2017外部サイトへ移動します
オーストラリアで提唱されたFTEMフレームワークは直線的なデザインで図示されているが、実際には、育成パスウェイ上に多くの入口と出口の機会がある非直線的な軌跡を描く。 Gulbinら, 2013外部サイトへ移動します
スポーツタレントを多く輩出している地域では、将来性豊かなアスリートが発掘・育成(TID)プログラムを通して、ポジティブな体験を提供し、構造化された育成パスウェイを構築していた。 Tooheyら, 2017外部サイトへ移動します
世界基準の育成環境 アスリートが挑戦できる環境を準備し、そうした経験を全面的に支援し、その後にポジティブな評価と反省を促すことが、成功への鍵である。 Collinsら, 2016外部サイトへ移動します
デンマークの49erセーリングチームのコーチ1名、シニア代表選手6名、年代別代表選手8名に対して6ヶ月にわたる育成環境の調査を行い、競技内外における育成環境の全体像を時系列に整理したATDE (Athletic Talent Development Environment) モデルを構築した。
成功要因(ESF; The Environment Success Factorsモデル) として、アスリート及び人としての成長を促す組織文化、自律性と卓越性に対する自己責任が抽出された。
Henriksenら, 2010a外部サイトへ移動します
2010年に開発されたATDEモデルとESFモデルをスウェーデンの陸上競技クラブIFK Växjöに適用した結果、パフォーマンスの過程と全人的アプローチに着目したオープンな協力関係を構築する組織文化が成功要因の一つとして抽出された。 Henriksenら, 2010b外部サイトへ移動します
2010年に開発されたATDEモデルとESFモデルをノルウェーのカヌーチームWang School of Elite Sportsに適用した結果、トップアスリートとジュニアアスリートの関係が強かった。正式には学校で組織されたチームだが、アスリートが競技に専念できるように支援すること、トレーニングに自律的な責任を持つように指導すること等強力で結束力のある組織文化が成功要因として抽出された。 Henriksenら, 2011外部サイトへ移動します
2010年に開発されたATDEモデルとESFモデルをデンマークのゴルフチーム Seaside International College of Sport and Performance に適用した結果、支援的なトレーニンググループやロールモデルの欠如、競技外の環境からの理解の少なさ、関係者との連携不足、一貫性のない組織文化が成功しなかった要因として抽出された。 Henriksenら, 2014外部サイトへ移動します
勝ち続ける組織であるラグビーのオールブラックス(2004~2011年)の事例研究を行った結果、成功要因として8つ(ターニングポイント、変化と進化、デュアルマネジメントモデル、「より良い人間がより良いオールブラックスを作る」、責任 、リーダーシップ 、卓越性への期待 、チームの結束力)が抽出された。 Hodgeら, 2014外部サイトへ移動します
トップアスリートが成功することで、強化費や知名度が上がり、新たな育成パスウェイの構築等を通してスポーツの普及につながる。 Sotiriadou & Shilbury, 2009外部サイトへ移動します
強化活動 勝ち続ける組織であるラグビーのオールブラックス(2004~2011年)を事例に、団体競技の強化活動における推奨事項は以下の通りである:
①デュアルマネジメントのモデルを用いて、リーダーの重要な役割をプレーヤーに与える。
②個人への配慮、刺激的な動機づけ、知的刺激、グループ目標の受容、卓越性への期待、適切なロールモデルに焦点を当てた、変革的リーダーシップのためのマインドセットを採用する。
③自己と他者の感情を知覚する人間関係と対人能力の開発によって、心の知能指数の高いコーチの養成方法を学ぶ。
④自律性を促すコーチング戦略を実行する。
Hodgeら, 2014外部サイトへ移動します
オーストラリア代表の男性陸上選手は、平均15時間/週のトレーニング量であった。トレーニング量が20~25時間/週のボートなどと比べて、大学生の多い陸上選手は、学業と競技のバランスを取りやすい傾向にある。 Huxleyら, 2017外部サイトへ移動します
オリンピック及び世界選手権金メダリストは、トレーニングの過程から成功までをより長期的な視点で捉え、全面的な準備をしていた。 Reesら, 2016外部サイトへ移動します
ピーク年齢 パワー/スピード系競技では、競技時間が長いとピーク年齢の推定値が減少し、およそ20歳(水泳、21-245秒)から27歳(陸上投擲、1-5秒)までの範囲であった。また、持久系競技では、競技時間が長いとピーク年齢の推定値が増加し、およそ20歳(競泳、2-15分)からおよそ39歳(ウルトラディスタンス・サイクリング、27~29時間)までの範囲であった。 Allen & Hopkins, 2015外部サイトへ移動します
国際競技大会への出場と成功 個人のパフォーマンス軌跡の診断ツールを用いて、オリンピック出場に近いパフォーマンスを持つ水泳選手を毎年特定し、定期的な合宿において年齢やパフォーマンスだけでなく、特定された変数を把握することで、育成チームへの早期選抜の予測精度を向上させることができる。
また、オリンピック準備のための強化費と資源をより多くの水泳選手に対して重点化することで、育成チームの早期選抜の恩恵を受けずにオリンピック予選タイムを切る選手選抜の予測精度をさらに向上させることができる可能性があった。
Allenら, 2015外部サイトへ移動します
スポーツ生理学に基づいたトレーニング 傑出した優秀な個人の生理学的データを報告する研究は、適切な母集団における測定値の平均値と標準偏差を提供すべきである。 Hopkins, 2015外部サイトへ移動します
2010年、当時の世界チャンピオンであったボート選手4名における6年間(2005年~2010年)の追跡調査の結果、2005年から2009年にかけて最大酸素摂取量が26%有意に増加した。しかし、パフォーマンスに関連した身体的・生理学的データは、20歳くらいで頭打ちになることが明らかとなった。 Mikulic, 2011外部サイトへ移動します
2015年、当時の60m ハードル(7.30 秒)の室内世界記録保持者、110m ハードル(12.91 秒)の元世界記録保持者のスプリンターは遅筋筋線維( pure MHC [ミオシン重鎖アイソフォーム] IIx )の割合が多かったことが明らかとなった。 Trappeら, 2015外部サイトへ移動します
多くの対象者に関する議論のみではなく、特定の対象者(N=1)について議論することも重要である。この点について、Heckstedenら(2015)とHopkins(2015)は、それぞれが独自の視点で世界チャンピオンのデータを議論している。 Wagner, 2015外部サイトへ移動します
パラアスリートのトレーニング 世界チャンピオンである下肢切断のパラサイクリング選手における最大酸素摂取量等のフィットネスデータについて初めて事例として論文化された。本研究の結果は、パラサイクリング選手におけるトレーニング計画や競技力向上にも参考値として役立つ可能性があった。 Menaspàら, 2012外部サイトへ移動します
パラトライアスロンにおける世界チャンピオンのトレーニングを19か月に渡り追跡した結果、 個人の乳酸閾値以下の強度を重視した継続したトレーニングは、全体の8割から9割のトレーニング量を占めていたことが明らかとなった。 Mujikaら, 2015外部サイトへ移動します