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タレント発掘・育成プログラム

タレント発掘・育成プログラムとは?

タレント発掘・育成への想い 魅力ある「真のチャンピオン」
を一人でも多く輩出したい…
JSCが望むタレント発掘・育成の在り方
私たちは、アスリートが育成される道すじ(アスリート育成パスウェイ)における、入口の「選択の機会と場」をいかに提供できるか、が大切だと考えています。より多くの人が自身の適性に応じたスポーツを選択し、世界に挑戦できるよう、できる限り多くのアスリート育成パスウェイの入口をつくっています。
そして、私たちの目標は、単なるメダリストの輩出だけではなく、誰もが憧れて応援したくなるような、魅力あるアスリートを輩出することです。このような「真のチャンピオン」となるアスリートを一人でも多く輩出することが、私たちの目標であり、夢でもあるのです。
タレント発掘・育成とは

私たちは、適性を有する潜在能力(ポテンシャル)の高いスポーツタレントを見出し、優れたコーチから質の高い育成プログラムを提供されることで、将来性の豊かなスポーツタレントのパフォーマンスを最大限に引き上げることができると考えています。
究極的には、タレント発掘・育成(Talent Identification and Development、TID)とは、将来性の豊かなスポーツタレントと優れたコーチを出会わせることです。

イラスト
さまざまな発掘方法

一般的に「タレント発掘」と聞くと、子どもの才能が見出されて、エリート教育される、というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、図1に示すように、子どもだけでなく、大人を対象としたものまで、以下の3つのタイプに分けることができます。

タレント発掘・育成の概念図

① 種目適性型

個人の適性に応じたスポーツを模索すること
例えば、福岡県タレント発掘事業では、発掘プログラムで選考された県内の小学5年生から中学3年生を対象に、様々な競技実戦等による身体・知的能力を高める育成プログラムを実施します。このような育成プログラムを経て、体力測定値や指導者の評価等の情報から、個々の能力を活かして、将来的に世界で活躍できる競技種目に導きます。

② 種目選抜型

特定のスポーツにおいて適性を見出し、選抜すること
例えば、地区代表、年代別代表、日本代表などを選出する際に、既にそのスポーツを実施している者から選出することです。

③ 種目最適(転向)型

あるスポーツのアスリートが、自身の特性を活かすことのできる別のスポーツに変わること
例えば、バスケットボールやサッカーから7人制ラグビーに種目を最適化(転向)した事例があります。

他国の例

近年、イギリスやオーストラリアなどタレント発掘・育成の先進国では、国を挙げて戦略的な支援をしています。特に、イギリスでは、有能なタレントを対象に最短期間でメダル獲得を目指す、短期育成(ファストトラック)というアプローチで、主にボートや自転車等の記録系スポーツへの集中的投資により、オリンピック競技大会でメダルを獲得しています。 例えば、イギリスのスポーツ政策執行機関であるUK Sportが2007年から2012年まで7つのタレント発掘・育成のキャンペーンを行っていました。中でも、長身者を対象としたSporting Giantsにおいて、2008年に陸上のクロスカントリーからボートへ種目最適化(転向)したHelen Glover 選手が、2012年 ロンドンオリンピック競技大会の女子ペアで金メダルを獲得しました。これは、わずか4年半という育成期間での成功事例でした。さらに、同国ではパラリンピックのタレント発掘・育成でもわずか3年でメダリストを輩出した事例もあります。

イラスト
タレントの見出し方

私たちは、将来性の豊かなスポーツタレントと優れたコーチを出会わせるためには、「発掘・検証・育成」の3つの段階を設けてタレントを見出す必要があると考えています。

「発掘・検証・育成」の3つの段階の図

STEP1「発掘」の段階

最初の段階では、一般的な体力・運動能力の測定や競技専門的な測定を行います。これらの測定項目は、競技によって異なります。この段階では、その競技で求められる能力と照らし合わせてタレントを評価するコーチの眼とスポーツの医科学的分析に基づいた発掘プログラムを行うことが大切です。

STEP2「検証」の段階

検証プログラムは、1日、2日の測定では見出すことが難しい、タレントの潜在能力(ポテンシャル)と適性を検証します。そのために、数週間から数ヶ月、その競技の専門的なトレーニングを行い、検証プログラムの前後で専門能力の発達の度合い(成長率)や、取組む姿勢や覚悟等を見ていきます。この段階では、タレントの競技への適応過程を検証します。

STEP3「育成」の段階

この段階では、中央競技団体等が主体となり、コーチ、ライバル、トレーニング、競技会等の世界基準の育成プログラムが提供されます。この段階では、目標大会で求められるパフォーマンスから逆算して設定したパフォーマンスの最低水準(ベンチマーク)に対して、いかにその差を埋めてタレントが成長するか(タレントを成長させるか)、が重要です。

タレント発掘・育成プログラムのこれまでの実績

現在までに実施されてきたタレント発掘・育成プログラムを通して、オリンピック、パラリンピック競技を問わず、数多くのタレントが中央競技団体の育成プログラムにつながっています。代表的な事例を以下に紹介します。

  • サッカーから7人制ラグビーに種目最適(転向)化し、現在日本代表としてオリンピック競技大会を目指して活動
  • 柔道やラグビーからボートに種目最適(転向)化し、年代別日本代表選手として活躍
  • 陸上競技からスケルトンに種目最適(転向)化し、ユースオリンピックゲームズに出場
  • タレント発掘・育成プログラムを通して、パラパワーリフティングに見出され、日本代表として世界選手権に出場
  • タレント発掘・育成プログラムを通して、パラ陸上に種目専門化し、年代別強化指定選手として活躍

タレント発掘・育成プログラムを通して、「世界に挑む」アスリートは、「タレント発掘・育成プログラムは新しい世界への挑戦であり、オリンピックを目指すため、常にできないことに挑戦する必要があり、そのためには勇気を持つことが大切だ、ということを学んだ。」や「(本気で世界を目指すためには)まずは、競技を知って、好きになることが重要である。」と語っています。

各地域や全国で実施されているタレント発掘・育成事業のご紹介

全国では様々なタレント発掘・育成事業が実施されています。自分に状況に合うプロジェクトを探してみましょう。

全国規模のタレント発掘・育成事業

2017~
ジャパンライジング・スター・プロジェクト(J-STAR)
JSCは、スポーツ庁、公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、公益財団法人日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPSA/JPC)と連携して、“オリンピックやパラリンピックを目指す未来のトップアスリート”を発掘する「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」を実施しています。 数多くの競技と出会う機会が提供されています。
2013~2017
ナショナルタレント発掘・育成プログラム(NTID)
JSCが2013~2017年に実施したタレント発掘・育成プログラム(現在は実施しておりません)。NTID参加者のインタビューを以下のリンクより紹介しています。

各地域でのタレント発掘・育成事業

WPN
JSCがタレント発掘・育成に携わる関係団体等と連携し、日本全体として国際舞台で活躍するアスリートを発掘・育成するシステムを構築することを目的としたネットワークです。様々な形式で、事業が実施されています。居住エリアでどのような事業があるか調べてみましょう。