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ウォーミングアップとクーリングダウンは、多くのアスリートが日常的に実践しています。クーリングダウンとは、アスリートがトレーニングや競技大会後の1時間以内に行う運動(軽いジョギングや静的なストレッチなど)のことで、リカバリー手段の一つです。実はクーリングダウンは、翌日の競技パフォーマンスに良い影響を与えるという科学的な根拠が少なく、注意が必要な部分もあります。
このコラムでは、クーリングダウンが競技のパフォーマンスや身体に対して、どのような効果があるのか科学的な根拠をしっかり確認して、自分がどのような目的でクーリングダウンを行うか改めて考えてみましょう。また、他のリカバリー手段(睡眠、食事、交代浴など)と併用することで、効果が高まる可能性があると考えられているため、自分に適した手段を考えてみましょう。
アクティブ(動的な) ・クーリングダウン(軽いジョギングなど)を行っても、翌日のトレーニングや競技大会でのパフォーマンスに大きく影響することはないといわれています。逆に、次のトレーニングや競技大会までの間隔が4時間以内の場合には、競技パフォーマンスに悪い影響が出てしまう可能性があるので注意が必要です。また、傷害予防にはつながらないといわれています。
一方で、アクティブ(動的な)・クーリングダウンを長期的に継続していくと疲労からの回復(身体の適応反応)を高める可能性があることが分かってきています。
重要なことは、クーリングダウンをリカバリー手段の一つとして捉えることです。競技パフォーマンスや疲労からの回復(身体の適応反応)に良い影響を与えるためには、トレーニング内容(時期、運動の負荷や量)に見合ったリカバリー手段を選択して準備しておくことが重要です。複数のリカバリー手段(例:クーリングダウン、睡眠、心理的スキルなど)をトレーニング内容に合わせて適切に組み込むことが重要です。どんな時期(運動の負荷や量など)に、どんなタイミング(場面、状況など)で、どんなリカバリー手段を用意すれば良いかを自分なりに試行錯誤して、最終的に自分に適したクーリングダウンやリカバリー手段を取捨選択していきましょう。以下にいくつか例を示しておきます。
アクティブ(動的な)・クーリングダウン(軽いジョギングなど)は、基本的に運動やトレーニング時に使用した筋肉と同じ筋肉を使って実施しましょう。具体的な方法は、それぞれアスリート自身の好みや信念により異なることが分かっているため、運動方法、負荷(きつさ)、時間など、以下のポイントを踏まえて自分なりに工夫して実践しましょう。
アクティブ・クーリングダウンによる生理学的な(身体に対する)影響について、以下のことが分かっています。これらの科学的な根拠も踏まえた上で、上記の(1)~(4)のポイントに注意して実践しましょう。
※〇効果あり、△不明、×効果なし
このように、これまでの生理学的な研究からは、アクティブ・クーリングダウンが疲労回復に極めて有効であるとはいえないようです。しかし、多くのアスリートは、アクティブ(動的な)・クーリングダウンの方がパッシブ(静的な)・クーリングダウン(静的ストレッチングなど)よりも有益であると認識しており、他のリカバリー手段と併用して実践しています。
その他、各競技団体・アスリートの皆様にご活用いただけるような各種情報がハイパフォーマンススポーツセンターのウェブサイトに掲載されております。