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スポーツ科学

「動機づけ(モチベーション)」
心理グループ・ハイパフォーマンススポーツセンター

皆さんは、どうして今のスポーツを始めたのでしょうか?「やってみたい!」「おもしろそう!」などという気持ちがあったからだと思います。その気持ちは、「やる気」とか「動機」と言われるもので、「進んで物事を成し遂げようとする気持ち」のことです。タイトルの「動機づけ(モチベーション)」とは、「行動を生じさせ、その行動を継続し、何らかの目標に方向づける一連の心理的な過程」と説明できます。

動機づけには、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」があります。「内発的動機づけ」とは、「やること自体が楽しい!(好奇心)」、「もっと上手くなりたい!(意欲)」というもので、自分の内面に沸き起こった興味・関心・意欲に基づいています。また、「内発的動機づけ」には、「自分の能力を存分に発揮できている(有能感)」と「自分で考えて、定めて実行している(自己決定感)」が強く影響すると言われています。一方の「外発的動機づけ」とは、「勝ったら賞金がもらえる(外的報酬)」、「怒られたくない(賞罰)」というもので、自分の報酬・罰・矯正などの人為的な刺激に基づいており、短期間で効果があがると言われています。

ここで、「スポーツを始めたきっかけ」や「あなたがスポーツを行っている理由」について考えてみましょう。考えることで「動機づけ」の理解が進み、あなたが大切にしているのは、「内発的動機づけ」なのか「外発的動機づけ」なのかが分かると思います。

一つの例を紹介します。Aというプロ野球選手の目標は、「タイトルをとって、数億稼げる選手になりたい」というものでした。A選手に<なぜそれを目標にしたのですか?>と聞くと、「豪邸に住んで、外車に乗るのが目標。それを叶えるため」と言いました。次に<本当に?じゃあ、totoが当たって、豪邸を建てて、外車を持ったら、野球はもうしない?>と尋ねると、「…いや、そんなことはないです。野球はやめないです…」と答えました。この例をみて、みなさんはどう思ったでしょうか。

「外発的動機づけ」は、「外的報酬がなくなった時には活動自体をやめてしまう」、「苦しい時に諦めてしまう」など、長続きしにくいと言われています。一方の「内発的動機づけ」は、スポーツを行うこと自体が楽しいということが基なので、「自分で決めたことなので、責任を持って行う」、「楽しくてやっているので活動自体に価値を持てる」、「粘り強く頑張れる」という行動につながります。

では、この「内発的動機づけ」を高めるためには、どうしたらいいのでしょうか。まずは、「自分が頑張っている理由を振り返り、その行動に意味づけをする」ということを行ってみましょう。そして、「そのことに納得して、活動を継続する」ということが有効です。また、「評価してもらうことで、自分が成し遂げたことの実感を得る」ことも効果的です。さらに、「自分ひとりの頑張りだけではくじけやすいので、家族や仲間のために頑張るなどの支え合いが大切。家族やチームの一員である感覚が内発的動機づけの向上につながる」ということも重要です。なお、「外発的動機づけ」はデメリットばかりではありません。「外発的動機づけ」がきっかけになり、そこから楽しさを知り、最終的に「内発的動機づけ」に変わっていくことがあり、このことは非常に望ましいことです。

まとめますと、競技力向上や勝利につなげる、そして人として成長するために、スポーツ活動を支える動機づけを理解し、正しく高めていくことが大切です。「一生懸命スポーツに取り組めているのは『動機づけ』があるからこそ!」ということを理解して、充実したスポーツ活動を続けて欲しいと思います。