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図1. ディトレーニングのパフォーマンス及びパフォーマンス準備状態への影響の略式図
ディトレーニング(脱トレーニング)とは、アスリートが継続してきたスポーツトレーニングを中止・一時中断することで、そのトレーニング効果が部分的あるいは完全に消失する現象です(図1)。特に長期的にトレーニングを継続してきたトップアスリートは、病気やケガ、シーズン後の休暇、その他の要因によって身体活動量の減少や競技パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。ディトレーニングは、運動不足やベッドレスト、テーパーリング(試合前の調整)と関連しています。
ディトレーニングは、主に持久力と筋力に大きく影響すると言われています。持久性パフォーマンスに貢献する要因には、最大酸素摂取量(VO2max)、有酸素性エネルギー代謝、移動のエネルギー効率があります。移動のエネルギー効率について、最大下運動時の酸素摂取量にディトレーニングの影響はないことが分かっています。
比較的短期間のディトレーニングの生理学的影響には、次のようなものがあります。
比較的長期間のディトレーニングの生理学的影響には、次のようなものがあります。
継続的なトレーニングにより得られたトレーニング効果を維持するための最も効率的な手段は、トレーニング強度を維持したままトレーニング量を減らす高強度トレーニング(例:15秒~3分の運動 [主観的運動強度RPE 8/10、最大心拍数90%前後] と15秒~2分の休息のセットを10分~15分間の反復)と言われています。また、日常のトレーニング手段とは異なる様式でのクロストレーニングも有効であることも分かっています。非鍛錬者は専門競技と異なる様式も有効とされていますが、鍛錬者は専門競技の生理学的特徴や動きに合わせて、なるべく近い様式のクロストレーニングが有効と言われています。さらに、下肢をケガしたアスリートには、水の浮力作用を活用した水中運動処方や上肢エルゴメーター運動等もトレーニング手段として提案されています。
トレーニングの原則の「反復性(継続性)」からも日常のトレーニングで得られたトレーニング効果は、「使わなければ駄目になる」と考えることができます。非鍛錬者に比べて鍛錬者は、試合期から移行期にかけてディトレーニングの影響が特に大きくでることが分かっています。アスリートやコーチがディトレーニングの影響について知ることで、一方的にトレーニングの中止や一時中断をするのではなく、トレーニング効果を維持するための別のトレーニング手段を考えることができるはずです。
どのトレーニング手段を選択するかは、トレーニングの中止や一時中断に至った経緯から現場復帰するまでを逆算して考えてみましょう。特に短期間のディトレーニングからの再トレーニングは、トレーニングの原則の「漸進性」にしたがって無理なく通常のトレーニングに戻して行きましょう。また、3~4週間を超えた長期間のディトレーニングからの再トレーニングは、前期のトレーニング周期に戻ってトレーニングを再開しましょう。スポーツでも継続は力なりです。
その他、各競技団体・アスリートの皆様にご活用いただけるような各種情報がハイパフォーマンススポーツセンターのウェブサイトに掲載されております。各種エクササイズも紹介されております。合わせてご参照ください。